彼岸の中日、誕生日だ。
小さいころは、誕生日にケーキがなくて、おはぎを食べていた。
おはぎに蝋燭をたてたわけではない。

大人になってから、ケーキを食べられるようになった。
定年を過ぎて収入がガタ落ちしたから、誕生日とクリスマスだけ、ケーキを食べる。
市販のケーキは、高いので、妻がつくる。

バターは高いからマーガリンを使う。これで100円以上安くなる。
もったいないから、いちごなんてものはのせたことがない。
それでも口に含むと甘さと幸せが広がる。

ケーキで贅沢するから、紅茶はティーバッグでがまんだ。
どうせクリームの濃い味で舌がバカになってるから、これで充分だ。
ケーキにろうそくはたてない。
63本ものろうそくをたてるほど、大きなケーキではない。

誕生日の贅沢。
他人がおはぎを喰うときに、俺はケーキを喰うのだ。
リッチだ。

そうして、また一歩、私は大人になるのだ。
なんちゃって。
 
大人